2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03127
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重岡 成 近畿大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAPOLU MADHUSDHAN 近畿大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | アスコルビン酸 / 光酸化的ストレス / 活性酸素 |
Research Abstract |
高等植物は移動の自由を持たないため、絶えず変化する自然環境にその場で適応、順化して生長していかなければならない。乾燥や高温などの環境ストレスにより植物が障害を受ける要因に活性酸素種による酸化的障害が関与している。そのため植物は非常に巧妙な抗酸化系を発達させてきた。本研究では植物の主要な抗酸化剤であるアスコルビン酸(AsA)の生合成経路調節機構および輸送機構について解析を行うため、以下の点について解析を行った。また、植物の老化と抗酸化耐性能との関係についても解析を行った。 1)ガラクトース脱水素酵素の分子特性 高等植物のアスコルビン酸(AsA)生合成の調節機構を明らかにするため、生合成系の鍵酵素の1つであるL-ガラクトース脱水素酵素(L-GalDH)の分子特性を明らかにし、細胞内AsAレベルでの活性調節について検討した。ホウレンソウL-GalDHの精製、cDNAの単離により分子特性を明らかにした。L-GalおよびNAD^+に対するKm値は116.2±3.2μM、17.9±0.2μMであった。本酵素活性はAsAにより拮抗阻害を受け、Ki値は133.2±7.2μMであり、細胞内AsAレベルはL-GalDHのAsAによるフィードバック阻害で制御されることが示唆された。 2)植物における組織レベルおよび細胞レベルでのAsAの分配の改変 植物のAsAの輸送機構について殆ど明らかにされていない。そこで、植物におけるAsAの分配を改変刷るため、ラットよりAsAトランスポーター(SVCT1,SVCT2)をRT-PCRによりcDNAを単離し、シロイヌナズナへ形質転換を行った。その結果、それぞれ約30系統の形質転換シロイヌナズナを得ることができた。形質転換体におけるSVCT1およびSVCT2の発現レベルを確認するため、ノーザンブロティングを行ったところ、SVCT1もしくはSVCT2が高発現している系統をいくつか得ることができた。 3)植物の老化と抗酸化耐性能との関係 葉での老化に伴う抗酸化能の低下について解析を行うため、タバコの若葉および老化葉における各抗酸化物質および酵素活性について測定を行った。その結果、若葉に比べ老化葉では多くの抗酸化物質および酵素の活性は低下していた。さらに、光酸化的ストレス条ではwater-water cycleの鍵酵素である難体型APX活性が老化葉において顕著に低下していた。
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Research Products
(2 results)