2004 Fiscal Year Annual Research Report
LNg-IUDの子宮内膜血管新生因子に及ぼす影響 甲状腺ホルモンのトロホブラスト浸潤能に及ぼす影響
Project/Area Number |
03F03143
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸尾 猛 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FERNANDEZ Jovelle Laoag 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 子宮筋腫 / 子宮腺筋症 / LNg-IUD / VEGF / アドレノメヂュリン / 絨毛外トロホブラスト / 甲状腺ホルモン / アポトーシス |
Research Abstract |
1 子宮筋腫や子宮腺筋症により過多月経を来たしている女性にlevonogestrel-releasing intrauterine system (LNg-IUD)を使用すると、定常的な黄体ホルモン様作用により子宮内膜の分泌腺と間質の増殖能抑制とアポトーシス誘導が惹起され子宮内膜は強く萎縮、菲薄化して月経時出血量の著明な減少につながる。しかし、LNg-IUD装着後3ヶ月間は少量の不規則な出血が出現し、同IUD使用時の臨床的問題となっている。本年度の研究では、子宮筋腫や子宮腺筋症に伴う過多月経患者を対象に、LNg-IUD装着前後に採取した子宮内膜における血管新生関連因子(VEGF、アドレノメヂュリン等)発現を蛋白レベルで検討した。VEGFは、LNg-IUD装着前には子宮内膜腺と間質にその強い発現が観察されたが、LNg-IUD装着3ヶ月後にはその発現は減弱した。一方、アドレノメヂュリンはLNg-IUD装着3ヶ月後に、子宮内膜腺と間質でその発現が増強した。このことはLNg-IUD使用時の副作用発現抑制につながる重要な基礎的知見と考えられる。 2 絨毛外トロホブラスト(EVT)は接着・浸潤と血管新生を介して妊娠初期の胎盤形成に重要な役割を果たす。すでにその脱落膜への進入機転にアポトーシスが深く関わることを報告している。本年度は、単離EVT培養系を用いて、甲状腺ホルモンのEVTアポトーシス発現に及ぼす影響をアポトーシス促進ならびに抑制因子の発現動態より検討した。生理的濃度の甲状腺ホルモンは培養EVTのFas/FasL、caspase-3、PARP、Bax蛋白発現を抑制し、Bcl-2蛋白発現を高めたことから、EVTのアポトーシス発現を抑制することが明らかとなった。このことは甲状腺機能低下に伴う流産に対する甲状腺ホルモン補充療法の有効性を実証する重要な基礎的知見である。
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Research Products
(2 results)