2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03144
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小阪 淳 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUN Guangwei 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 網膜幹細胞 / 視細胞 / 虹彩上皮細胞 / 分化 / 再生医療 / ニワトリ / neurosphere / 分化転換 |
Research Abstract |
ニワトリ雛の眼球を用いて、虹彩細胞の可塑性に関する研究を実施した。虹彩上皮細胞が網膜幹細胞の性質を発揮することが示唆されていたので、この細胞を用いて機能的な網膜神経細胞、特に網膜視細胞の産生を試みた。 虹彩上皮から得られるneurosphereについての性状を解析した結果、Pax-6,Wnt-2b, Vimentinなどの網膜幹細胞/前駆細胞の特徴である分子を発現しており、神経分化マーカーの発現は認められなかった。従って、neurosphere培養下では、虹彩上皮細胞は、幹細胞/前駆細胞として維持され、増殖することが判明した。しかしながら、sphere培養での細胞増殖には限界があり、継代4代目ほどで増殖が停止した。 臨床応用への活用のためには、多量の細胞を得る技術が極めて重要となる。そこで、培養条件を検討したところ、FGF2を加えた接着培養で増殖させると、sphere培養よりも約1000倍の細胞数が得られることが判明し、また接着培養で増やした虹彩由来細胞は、sphereを形成することから、網膜幹細胞/前駆細胞の特性を維持していることが示唆された。この方法で増殖させた虹彩由来網膜幹/前駆細胞を、トリ胚網膜前駆細胞と共培養を行い、retinospheroidを形成させると、虹彩由来細胞が網膜層形成に参加し、層特異的に移動すると共に、網膜視細胞や網膜のミュラーグリア細胞の分化形質を発現した。また、眼球のsubretinal spaceへ細胞移植を行ったところ、移植された虹彩由来細胞が一部、rhodopsin陽性の視細胞へと分化した。以上の結果は、脊椎動物の虹彩上皮細胞が網膜幹細胞/前駆細胞の性質を有し、網膜再生のための新たな移植源として期待できることを、初めて実証したもので、生物学的にも臨床医学的にも大きな意義を持つ。成果は、国際学会および、国際誌上で17年度に発表済である。
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Research Products
(5 results)