2004 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞死の制御機構:RNAi法を用いた分子細胞生物学的解析
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03F03145
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久木田 敏夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SANDRA Ferry 九州大学, 大学院・歯学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | 破骨細胞 / 分化 / アポトーシス / Gpnmb / カフェ酸 / アジュバント関節炎 / TRAF6 / 骨肉腫 |
Research Abstract |
本研究では破骨細胞に特有の死のメカニズムを解明し、破骨細胞死の制御を基盤とした新しい骨吸収制御法の開発を行うことを目的とする。破骨細胞のアポトーシスや分化の制御に関与すると推定される膜表面分子Gpnmbに着目した。マクロファージ系細胞株RAW-D細胞や骨髄マクロファージを用いた破骨細胞分化における本分子の発現を検討したところ、分化に伴ってGpnmbの発現が増強された。特異的siRNAによる発現阻止を行うと、破骨細胞の形成が有意に抑制された。骨組織における発現をin situハイブリダイゼーション法を用いて解析したところ、破骨細胞に高い発現が認められた。Gpnmbの発現は骨組織に限局されておらずほぼユビキタスなのであるが、Gpnmbが破骨細胞分化あるいはアポトーシスの制御に関与する可能性が考えられる。ところで、カフェ酸は腫瘍細胞にアポトーシスを誘導することが知られている。カフェ酸が破骨細胞にもアポトーシスを誘導する可能性を検討したがアポトーシス誘導は全く認められなかった。しかしながら破骨細胞の分化を顕著に阻害した。カフェ酸による破骨細胞分化の阻害機構を調べたところ、TRAF6を介したシグナル伝達系が阻害されていることがわかった。更に、アジュバント関節炎ラットに於ける激しい骨破壊をカフェ酸は抑制し、カフェ酸の骨吸収制御剤としての有用性が明らかとなった。一方、カフェ酸はヌードマウスに移植した骨肉腫細胞に対しては顕著なアポトーシスを誘導した。カフェ酸は正常細胞の分化を抑制するとともに、腫瘍細胞の死を誘導することが強く示唆された。本研究の一部は第22回、日本骨代謝学会に於いて報告した。
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