2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の接着・移動においてカドヘリン結合タンパク質p120が果たす役割の解析
Project/Area Number |
03F03147
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
永渕 昭良 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUIJIE LIU 熊本大学, 発生医学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | カドヘリン / p120 / 細胞内輸送 / F9 / 細胞接着 / リソソーム |
Research Abstract |
カドヘリン結合タンパク質の一つであるp120遺伝子のF9細胞での遺伝子破壊を試みた。残念ながら完全な遺伝子破壊細胞は単離できなかった。しかしその過程で、遺伝子の部分的破壊の結果、p120タンパク質の発現が極端に低下した細胞の単離に成功した。これらの細胞ではこれまでの報告とは異なり、カドヘリン分子の細胞質での蓄積が観察された。これらの細胞質カドヘリンはエンドソームマーカーの一つであるLamp-1と局在を共にした。またP120発現低下細胞ではLamp-1の発現量の増加が観察された。この細胞質カドヘリンを指標にp120分子の機能領域の検索を行った。具体的には全長p120、N末端欠損、C末端欠損p120分子の発現ベクターを作成し、細胞に導入した。一時的にこれらの分子を発現した細胞を見たところ、全長および、N末端欠損分子を発現させた細胞では細胞質カドヘリンが減少し、接着部への濃縮の回復が見られた。しかしC末端欠損分子を発現した場合には細胞質カドヘリンがより増加する傾向にあった。さらに細胞質カドヘリンとC末端欠損分子の局在の一致も観察された。C末端欠損細胞を安定に発現させた場合は、全長p120、N末端欠損分子と同様にカドヘリンの安定な発現を誘導した。 これらの結果はp120はこれまでに知られていた細胞表面のEカドヘリンの取り込みを抑制する他に、細胞質のカドヘリンを細胞表面に再輸送する働きを持つこと、この再輸送にはこれまで機能が明らかではなかった分子のC末端領域が必要であることを示している。
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