2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03148
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
椛 秀人 高知大学, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Jing Ji 高知大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 匂い / 学習 / 嗅球 / 長期増強 / ノルアドレナリン / NMDA受容体 / 電位依存性カルシウムチャネル / PI-3キナーゼ |
Research Abstract |
生後11日目の幼若ラットに匂いと電撃の対提示を30分間、1回行うだけで再現性の良い匂い嫌悪(忌避)学習が成立する。本研究の目的は、行動薬理学的手法、生化学的手法、電気生理学的手法等を駆使して匂いの嫌悪学習の分子カスケード機構を解明することであった。本研究により私共は、匂い学習の電気生理学的相関(シナプス伝達の長期増強lone-term potentiation : LTP)を捉えるとともに、このLTPを用いて匂いの嫌悪学習のメカニズムが理解できることを示した。 嗅球スライス標本において、外側嗅索(LOT)に5回のテタヌス刺激(100Hz、1s、3分間隔で5回)を施すと、僧帽細胞から顆粒細胞への興奮性シナプス伝達を反映するフィールド電位の勾配にNMDA受容体依存性のLTPが誘導された。3回のテタヌス刺激ではLTPは成立しないが、この刺激とノルアドレナリン(NA)添加を対提示することにより安定したLTP(NA-paired LTP)が誘導された。NA-paired LTPはNMDA受容体アンタゴニストであるAP5では部分的にしか阻止されず、電位依存性L型Caチャネル阻害剤であるnifedipineで完全に阻止された。NA-paired LTPはβアドレナリン受容体アンタゴニストであるtimololで阻止され、またβアドレナリン受容体アゴニストであるisoproterenolによって再現された。これらの結果は、匂い学習とLTPとの関連を示唆している。 匂いの嫌悪学習とNA-paired LTPの両者にPI-3キナーゼが関与することを証明した。これらの結果も、匂い学習とLTPとの関連を示唆している。
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