2004 Fiscal Year Annual Research Report
ユニタリ表現の分岐則における重複度1定理と余随伴軌道の幾何
Project/Area Number |
03F03190
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 俊行 京都大学, 数理解析研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NASRIN Salma 京都大学, 数理解析研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 重複度 / 余随伴軌道 / 分岐則 / 変形空間 / 不連続群 / 等質空間 / リー群 / 最高ウエイト表現 |
Research Abstract |
ユークリッド空間にアファイン変換として作用する不連続群の変形空間を研究した。まず、アファイン変換群の部分群となる2ステップ冪零リー群の中に含まれる離散部分群を変形し、ユークリッド空間に固有不連続に作用するパラメータ空間を完全に決定した。特に、この不連続群は局所剛性をもたず、従って、内部自己同型群による無駄を省いた変形空間(リーマン面のタイヒミラー空間に相当する概念)は正の次元をもつ。その次元は、もとの空間の次元が奇数か偶数かによって公式が異なることを発見した。さらに、微小な変形で固有不連続性が保たれないという現象が見出された。この現象は、3次元のローレンツ空間形の基本群に関するGoldmanによる予想(小林,Saleinにより証明)と対極にある。以上の結果は研究代表者の小林俊行と研究分担者のNasrin, Salmaの共著論文[1]で発表した。その証明には、Nasrin, Salmaが以前に証明した「2ステップ冪零リー群におけるLipsman予想の証明」を用いる。 さて、表現の分岐則(部分群に制限したときの既約分解)が最も理想的に振舞うのは各規約表現の重複度が1になる場合である。研究代表者の小林俊行は、表現が無限次元および有限次元の場合に、分岐則が重複度1になるための複素幾何的な条件を発見し、それを証明した。さらに、複素多様体におけるvisible actionが、リーマン多様体におけるpolar actionやシンプレクティック多様体におけるcoistropicな作用の相互の関係を発見し論文[3]で報告した。研究分担者のNasrin, SalmaはHermite対称空間に関する最高ウェイト表現の重複度1定理の古典的極限としてCorwin-Greenleaf関数が0か1しか値を取らないことを証明し、日本数学会の年会で講演を行い、その報告を[2]に著した。
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Research Products
(3 results)