2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高塚 和夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BUDIYONO Agung 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子カオス / 量子スカー / トンネル現象 / 周期軌道 |
Research Abstract |
我々は、古典的な極限でカオスを示すような量子系の、半古典領域における性質を一般理論として研究した。これは、量子ドットなどにおける電子状態と、電気伝導性の研究、さらには、分子振動によるカオス状態の研究など、重要な応用分野をもっている。この様な系では、古典周期軌道が大きな役割を果たすことが知られている。1967年に、Gutzwillerは古典的な極限でカオスを示すような量子系の状態密度を系のあらゆる周期軌道の和で表した。状態密度はエネルギースペクトルすなわちハミルトニアンの固有値の統計性をも表している。1988年にBogomolnyが波動関数も周期軌道の和で現した。これらを一般化する形で、我々は開いた系に対する輸送係数などをも含めた周期軌道理論を構築し、その物理的な必然性を示し、またそれから上に述べられた色々な周期軌道公式を統一的に導出することに成功した。例えば、散逸系と接触する部分系において、周期軌道が崩壊(散逸)時間を引き延ばすこととその定量的表現を明らかにした。これらによって、ナノ系における量子現象の理論が体系的に議論される基礎ができた。
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Research Products
(6 results)