2004 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ、ベンガル堆積盆を構成する地層の化学組成から推定されるヒマラヤ山脈形成史
Project/Area Number |
03F03211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 茂之 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHAMAN MD JULLEH JARALUR 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 砂岩組織 / ベンガル堆積盆 / 重鉱物 / 化学組織 / 新生代 / バングラデシュ / ヒマラヤ山脈 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
ベンガル堆積盆の砂岩のうち第三紀のSurma層群と現世(ヒマラヤ山脈の北側が流域のBrahmaputra川及びベンガル湾岸)の砂試料の分析を行った。研究目的は両者の砂組成の違いからヒマラヤ山脈の隆起過程を明らかにすることである。 78試料について岩石薄片作成,岩石薄片によるモード組成分析,重鉱物分離,重鉱物スライド作成,スライドによる重鉱物組成分析,重鉱物薄片作成,重鉱物薄片によるEPMA分析装置を使ったザクロ石と角閃石の化学組成分析を行った。そのうち26試料については全岩化学組成分析を行った。 モード組成分析結果;第三紀の砂岩は石英に富むのが特徴であるが,時代の古い砂岩では低度変成岩に由来する岩石片や重鉱物が多く,それより新しい試料では青色角閃石や珪線石などより高い程度の変成岩に由来する鉱物が目立つようになる。現世の砂も石英に富むが青色角閃石や珪線石など高度の変成岩由来の鉱物が増えてくる。このことは石英に代表されるゴンドワナ大陸由来の砂が主体をなすものの(ヒマラヤ山脈の麓に広く分布する),地下深部にあった高度変成岩がしだいに隆起して地表に現れるようになったことを示している。 重鉱物分析結果;モード組成分析結果と同様に,新しい試料に高度変成岩由来のものが増えている。より高度の変成条件を検証するためにEPMA装置による鉱物の化学組成データーを得た。 全岩化学分析結果;非常勤技官の協力と指導を得てXRF装置によって分析した。分析値は採取場所と層準による変化が認められ,現在その解釈を検討中である。 これらの結果のうち現世の試料については広島大学で開かれた堆積学研究会例会で2004年4月に発表した。Surma層群砂岩についてはフィレンツェで開かれた第32回万国地質学会で2004年8月に発表した。これらの一部で「バングラデシュ,ベンガル湾岸の現世と第三紀の砂堆積物中の重鉱物」と題した原稿が出来上がり投稿準備中である。
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