2005 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ、ベンガル堆積盆を構成する地層の化学組成から推定されるヒマラヤ山脈形成史
Project/Area Number |
03F03211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 茂之 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN M.J.J. 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 砂岩組成分析 / モード組成分析 / 重鉱物分析 / ヒマラヤ山脈 / 後背地 / ベンガル堆積盆 / 国際研究者交流 / バングラデシュ |
Research Abstract |
バングラデシュではこれまでベンガル堆積盆を構成する地層に関して基本的な層序と堆積環境の研究がなされて来たが,ラーマン博士の招聘によって,これらの地層を構成する堆積物の化学分析による堆積場の復元に関する研究を行うことが出来,ベンガル堆積盆の研究をさらに進めることができた。分析は第三紀のSurma層群から現世(Brahmaputra河及びベンガル湾岸)の試料の分析した。これらの試料はベンガル堆積盆構成層のほとんどをカバーするものであるうえ,地理的にも全域から採取されている。分折の結果ベンガル堆積盆はインド大陸とユーラシア大陸の衝突によって変動帯の南縁に形成され,堆積物はヒマラヤ山脈から主に供給されるが,インド大陸から供給されてヒマラヤ山脈の麓に堆積していた地層からも供給されていることが浮き彫りになってきた。 分析は岩石薄片作成・岩石薄片によるモード組成分析(後背地の地質を推定),重鉱物分離・重鉱物スライド作成・重鉱物組成分析(重鉱物が大陸の花崗岩由来かヒマラヤ山脈の変成岩由来か識別できる),重鉱物薄片作成・重鉱物薄片によるEPMA分析装置を使ったザクロ石と角閃石の化学組成分祈(これらの鉱物が火成活動かあるいはどのような変成作用によって形成されたかが判明可能),さらに全岩化学組成分析(後背地の火成活動の特徴,プレートテクトニクスに基づく変動場の推定が可能)を行った。これらは堆積岩岩石学における研究手法として,最も基本的なものから先進的なものまでを含んでいる。 主な成果として,石英に代表されるゴンドワナ大陸由来の砂は,ヒマラヤ山脈の麓に分布している地層から再堆積したものであること,地下深部にあった高度変成岩がしだいに隆起して地表に現れるようになったこと,Ganges河とBrahmaputra河はヒマラヤ山脈形成初期から流路と後背地が別々であったこと等が明らかにされた。
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