Research Abstract |
本年度は低風速時から強風時におよぶ風領域において風車を運転し,発電量を計測することにより,発電曲線を得た.風車の運転中に記録したデータとしては,時刻,風速,ナセル方位,ナセル内温度,主軸温度,増速機温度,実風向,翼回転位置,ピッチ制御用シリンダストローク,系統電圧,系統電流,系統電力,発電機電圧,発電機電流,発電機周波数,発電機回転数である.これらのデータをもとにして,風速変動に対する発電量の変化や風向変動に対する発電量の変化を整理した.100kW級になると低風速域で稼働率を向上させるには翼の軽量化,ハブや主軸などの駆動系統の機械構造物の慣性モーメントの低減が必要となるが,これらは強度との兼ね合いにより,軽減することが難しい.そめため,本年度はカットイン風速を様々に設定して,モータリングによって起動することにした.これにより,低風速域でも運転が可能となり,また,発電曲線の立ち上がりが良くなった.風車翼性能の向上のため,モデル風車を用いて,風洞内で翼面圧力分布の測定と風車周りの速度場の測定をレーザドップラ流速計によって行った.この測定結果から,翼端近傍では翼端渦により流れが複雑化しているが,70%断面付近では二次元流れに比較的近いことがわかった.また,翼根元においては斜流方向の流れが観察された.この翼根元での翼面上圧力分布の測定から翼断面性能の向上が示された.つまり二次元流れ場内におかれた場合よりも,3次元流れ場におかれた場合の方が翼の性能が向上することが示された.これらを実機風車に適用することで風車の性能が向上すると考えられる.
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