2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03245
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARINO Edoardo Michele 京都大学, 防災研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 耐震設計 / 座屈補剛 / 筋かい / ユーロコード / 構造製特性係数 / 地震応答解析 |
Research Abstract |
「座屈補剛筋かい」を配した鋼構造建物を対象に、その地震応答を踏まえたうえで合理的な耐震設計法を構築することを目的とした。主たる実績は下記の通りである。 (1)欧州統一耐震設計基準である"EuroCode8(EC8)"を取りあげ、日本の耐震設計とEC8の相違を分析した。EC8が使用限界に対して定める地震力が極めて大きいため、鋼構造ラーメンに限って言えば、EC8の方が相当Conservativeであることが明らかになった。 (2)座屈補剛筋かい付き骨組の耐震設計法確立の前段として、通常の座屈筋かい付き骨組の耐震設計手順をEC8への適用を念頭に検討し、筋かい長さに依存せず一様な耐震性能が確保できる耐力評価法とそれに対応する構造特性係数を導き、簡便性を失うことなく精度が高い耐震設計手順を構築した。 (3)(2)の検討手順とほぼ同じ手順を踏襲することによって、座屈補剛筋かい付き骨組の地震応答性状を検討し、それに適合する耐震設計手順の構築をはかった。座屈しないという利点によって、座屈補剛筋かい付き骨組は座屈筋かい付き骨組よりも高い塑性変形能力を持つが、ある層の筋かいが降伏すると、その層に変形が集中してしまうといういわゆる柱崩壊機構に近い状況が生まれるために、座屈しないという利点だけでは、塑性変形能力の飛躍的向上は望めないことが明らかになった。しかしながら、座屈補剛筋かい付き骨組が、筋かいを配したスパンの周辺にもつ鉛直荷重支持用柱が、ある程度以上の剛性と強度を有する場合、ある層への変形の集中を緩和する機能、つまり応力再配分機能を果たすことを突き止めた。これらの知見に基づいて、座屈補剛筋かい付き骨組に適切な構造特性係数と、層への変形集中を防止するために周辺鉛直支持用柱がもつべき強度と剛性に関する設計指針を提示した。
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