2004 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地における低水質の水が土の分散性と構造に及ぼす影響
Project/Area Number |
03F03251
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
軽部 重太郎 茨城大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AHMAD Muhammad Munir 茨城大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | CCC / 擬集 / 分散 / カオリナイト / モンモリロナイト / pH / SAR |
Research Abstract |
モンモリロナイトとカオリナイトについて、様々なpHの下でNaClとCaCl_2の臨界凝集濃度(CCC)を測定した。二つの粘土のCCCはpHと共に上昇したが、カオリナイトのCCCはpHによってより大きく変化した。カオリナイトは、Na型でもCa型でも、透析した後はpH6未満まで凝集し、それを超えるpHで分散した。カオリナイトに対するNaClのCCCは、pH6よりわずかに高いところでモンモリロナイトより3倍高く、pH9では5倍高かった。各粘土のCCCを塩類濃度とナトリウム吸着比(SAR)の関係で表したところ、カオリナイトはpH8でSARにかかわらずモンモリロナイトよりも高いCCCを示した。これは、pHが高くなるほど負電荷が増大するというカオリナイトの荷電特性に加えて、カオリナイトのCCCは小さな粒径のものの影響が大きいためと考えられる。これにより、乾燥地でよく見られるSARの高い土壌では、小さな粒径のカオリナイトが重大な役割をする可能性のあることが示された。 一般にカオリナイトはモンモリロナイトと比べて比表面積が小さく、通常のpHではCECも小さいので、分散し過ぎるという問題についての認識は低く、また、たとえ分散しても通常実験で用いられる典型的なカオリナイトの粒子径(ストークス径)が比較的大きいため沈降し易いのであまり問題にならなかった。この研究は、pHが高くなると変異電荷を持つカオリナイトが分散しやすくなるため、特に粒径の小さいカオリナイトが分散して土壌構造の悪化を招くことが心配されるという事を指摘したものである。特に、高pHのときすべてのSARで(粒径の小さな)カオリナイトはモンモリロナイトよりも凝集するときのEC値が高くなる(分散しやすくなる)という事を実験的に示した点で意義あるものと言える。
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Research Products
(1 results)