2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03264
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
中村 宏樹 分子科学研究所, 所長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Yi 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 非断熱遷移 / 化学反応 / 熱反応速度定数 |
Research Abstract |
ポテンシャルエネルギー曲線の擬交差に基づく非断熱遷移に対して我々が開発した完全解析解であるZhu-Nakamura理論を用いて、各種の非断熱化学動力学過程を解明する研究の一環として、電子的非断熱化学反応の熱反応速度定数を直接評価する理論的研究を先ず行った。これは、遷移状態理論を非断熱化学反応に適用可能な様に一般化するものである。フラックス相関関数に基づく熱反応速度定数の定式を、非断熱遷移を取り扱えるように拡張した。遷移状態がポテンシャルエネルギー曲面の交差シーム上にある特別な場合には、これが容易に可能であることを示し定式化を行った。1次元及び2次元モデル系での具体的計算をも行い、厳密な量子力学的数値計算との良い一致を得る一方、非断熱効果を無視した理論が、当然ながら、正しくないことを示した。更に、この際、交差シーム上の遷移状態一点だけを考えるのではなく、遷移確率がシーム上の空間的な位置に依存することを正しく考慮に入れることの重要性をも示した。 この研究は更に拡張され、現在、電子移動で有名なMarcus理論を、非断熱遷移を正しく取り扱うことによって改良する研究を行っている。基本的な定式化を終え、1次元モデルで厳密な量子力学的な計算と一致する結果を得、Marcus理論を大幅に改良することが出来ることを示した。多次元系への拡張などを更に進めている。 Yi Zhao氏は上述の成果を色々な国内及び国際会議で発表している。招待講演をも行っている。
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Research Products
(1 results)