2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル反応を鍵段階とする抗マラリア活性を有する天然物の合成
Project/Area Number |
03F03294
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AFFO Walter 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ラジカル反応 / コバルト / 立体選択的反応 / 溝呂木-Heck型反応 / 抗マラリア活性 |
Research Abstract |
本研究では抗マラリア活性を有する天然物の合成の鍵反応となるコバルト触媒によるラジカル的アルケニル化反応の研究を行ってきた。特にこれまで注目されていなかった立体選択的ラジカル反応に着手し、多大な成果を得た。具体的には触媒量の塩化コバルト(1,6-ジフェニルホスフィノヘキサン)存在下スチレン誘導体と光学活性ブロモアセタールの混合物に対してトリメチルシリルメチルグリニャール反応剤を作用させると、ブロモアセタールの溝呂木-ヘック型スチリル化反応が進行することを見いだした。本反応の特徴として、従来のパラジウム触媒による同形式の反応では利用することが出来ないハロゲン化アルキル(本研究ではブロモアセタール)を基質として用いることが出来る。生成物は光学活性体であり、抗マラリア活性医薬中間体として有用であると考えられる。これまでのラジカル反応で利用されてきた反応剤である有機スズ反応剤を利用することなく本反応を達成できた。有機スズ反応剤は一般に毒性が高いことから、環境にも配慮した反応の開発にも成功したといえる。 上記成果は第15回国際純正・応用化学連合有機合成国際会議(名古屋、8月)でポスター発表により公表を行い、高い評価を得た。現在論文投稿に向けて論文を執筆中である。
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