2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物由来ハロゲン化テルペン類の分析と合成メカニズムの解明
Project/Area Number |
03F03300
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 伸哉 富山県立大学, 工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAMENARSKA Zornitsa 富山県立大学, 外国人特別研究員
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Keywords | 生物学的ハロゲン化 / 海藻 / ハロペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
海洋生物特有のハロゲン化反応の機構、ハロゲン化テルペン類の生合成メカニズムと生理的意義等を明らかにする目的で、各種海藻におけるハロペルオキシダーゼについて研究を行った。 1.塩素(臭素)を含むモノテルペンであるAplysiaterpenoid Aを含む海藻は貝やウニなど海洋性草食動物を忌避する。Aplysiaterpenoid Aを生産する海藻ホソユカリ中に、ハロペルオキシダーゼの標準基質であるモノクロロジメドンやフェノールレッドには全く作用せず、3-メチル-2-ブテン-1-オールに特異的に作用し3-メチル-3-ヒドロキシ-2-ブロモ-1-ブタノールを生成する、新規ハロペルオキシダーゼを確認した。そこで、海藻ホソユカリの大量培養法の確立とハロゲン化酵素の精製を目指したが、組織培養は不成功に終わった。また、海藻ホソユカリ中の新規ハロペルオキシダーゼは、海藻の採取場所等により,活性が著しく異なり、同酵素の完全精製を行うには至らなかった。 2.海藻の養殖に成功している外国産の海藻であるKappaphycusに初めてハロゲン化酵素を見出した。同海藻からのハロゲン化酵素の精製を試み、精製方法をほぼ確立した。同酵素は臭素イオンに特異的で、他のハライドイオンには作用しない。至適pHは5-6.5、過酸化水素、臭素イオンに対するKm値は、それぞれ8.5μM、1.3mMと高い親和性を示した。また、藻体に刺激性のジブロモアルデヒド誘導体を検出した。こうした臭素化合物が本酵素により合成される可能性の高いことが示唆された。海藻由来の忌避物質として興味ある現象を見出した。 3.フジマツモ(Rhodomela larix (Turner) C. Agardh)、イトフジマツモ(Rhodomela subfusca (Woodward) C. Agardh)の臭素化フェノール類の生成機構について、さまざまな反応、各種ハロゲン化酵素の検出を試みたが、以前論文に報魯されたヘム型のハロゲン化酵素活性は全く認められなかった。そのため、これら海藻のハロゲン化のメカニズムは未だ不明である。
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