2004 Fiscal Year Annual Research Report
加溶媒分解セルロース類を原料とする非ホルムアルデヒド接着剤の開発と木質材料への応用
Project/Area Number |
03F03303
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小林 純 東京農業大学, 地域環境学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG Yucang 東京農業大学, 地域環境学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | セルロース / 加溶媒分解 / 非ホルムアルデヒド接着剤 / 木質複合材料 / イソシアネート / グルコース / エポキシ樹脂 |
Research Abstract |
京都議定書調印により、木材の炭素固定、そして森林の持続的管理が益々必要となっている。しかし経済的問題から間伐材は林内に放置され、憂慮すべき事態となっている。本研究では、木質廃材から調製した非ホルムアルデヒド系接着剤を木質廃棄物複合材料に応用することで、間伐材や建築廃材の有効利用と付加価値化、地域立地型の木材産業に貢献することを目的とした。 これまで、非ホルムアルデヒド系接着剤の開発の一環として、セルロース分解物の結合フェノールの置換様式など液化物の性質と結合フェノールの定量について取り組んできた。 セルロースのフェノール液化物に存在するフェノール残基を利用し、非ホルムアルデヒド系接着剤を開発するには、更に化学修飾が必要である。この時、セルロース分解物の結合フェノールの置換様式などが目指すべき高分子材料の特性を左右すると考え、グルコース単位からなる単純なセルロースのフェノール液化について検討した。一方、簡単な分子構造のグルコースの液化も検討した。更にグルコースをセルロースの替わりに、もっと簡単な分子構造のフェノールの水酸基のオルト位のみ置換しやすいp一クレゾールとの反応を設計した。得た反応物を排除クロマトグラフィー、赤外吸光分析、核磁気共鳴で検討した。その結果、結合フェノールはオルト置換体が多くなることを見出した。 定量反応を制御するためには、結合フェノール量を精密に測定する必要がある。そこで、^1H-NMR或いは^1H-NMRとGPCとの組み合わせで直接的な定量方法を考案し、妥当性のある結果を得た。この方法は凝縮残渣の生成や、分析途中の未反応フェノールの消失や配合比不明の液化物などに対しても有効性で優れている(以上の成果は既に包装学会と木材学会で発表した)。 ついで、加溶媒分解物から未反応フェノールを取り除き、これらを原料としてエポキシ樹脂を調整した。得られたエポキシ樹脂に数種の硬化剤を加え樹脂フイルム作成し、その機械特性を検討した。得られた樹脂フィルムは一般にヤング率が高く、比較的脆いものが多いが、接着剤用樹脂としての可能性を持っている。
|