2005 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉法を用いたトランスポーターノックダウンマウスの作出と薬物動態解析
Project/Area Number |
03F03305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Q. 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | トランスポーター / RNAi / ERMタンパク |
Research Abstract |
肝臓の血管側膜および胆管側膜には、薬物の体内動態決定要素として重要なトランスポーターが複数発現している。一般的に、トランスポーターの基質の選択性は重複する場合が多いこと、さらにそれぞれの基質によりこの重複も変化することが知られている。従って基質選択性に関するそれぞれのトランスポーターの寄与を解析するためには、現状としてそれぞれの特異的な阻害剤を用いたり、ノックアウトマウスを作成し解析を行っている。しかし特異的な阻害剤が見つからない場合も多いこと、またノックアウトマウスの作成には時間がかかることなどの理由からその解析は困難なことが多い。 本課題では、RNA干渉法で特異的にトランスポーターの発現を抑制したノックダウンマウスの作出を目標とし、さらにそれを用いた寄与率の検討を考えている。そこで胆管側膜のトランスポーターに着目し、ERMタンパクをモデル標的タンパクとした検討を行っている。ERM蛋白のひとつであるRadixinをノックアウトしたマウスは胆汁うっ滞を起こすが、これは肝臓の胆管側膜に発現するMRP2が内在化に起因することが近年報告された。つまり、ノックダウンマウスの機能解析は胆汁うっ滞を起こしているか否かで比較的容易に検討することができると思われる。 前年度に引き続き、ノックダウン細胞の構築を行ったところ、Radixin, Ezrinそれぞれの発現が半分以上抑制されているが、ホスト細胞の性質はあまり損なわれていない安定発現株を樹立することができた。また、この細胞には内在的にMRP2およびEzrin、Radixinの発現が確認されているが、MRP2抗体を用いた免疫沈降の結果よりそれらが結合していることが示された。さらにコントロール細胞と比較して、細胞膜に局在するMRP2量の減少が観察された。今後はこのsiRNAを発現するマウスを作成し、その特性をノックアウトマウスと比較したいと考えている。
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