2004 Fiscal Year Annual Research Report
特異的光線力学療法のためのフタロシアニン型新規増感剤内包高分子ミセルの創製
Project/Area Number |
03F03309
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Yuan 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリイオンコンプレックスミセル / デンドリマー光増感剤 / 世代効果 / 光線力学療法 |
Research Abstract |
本研究では、光力学療法(PDT)剤となるデンドリマー型光増感剤(DPs)とポリエチレングリコール-ポリリシンブロック共重合体(PEG-b-PLL)とのポリイオンコンプレックス(PIC)ミセルの機能を調べている。 PEG-b-PLLはPEG-NH_2を開始剤とし、Z基で保護されたリシンの酸無水物を重合した後、Z基を脱保護して得られた(リシン重合度:29)。DPsは文献に従い合成した。PICミセルは一定量のDPとPEG-b-PLLを各々Na_2HPO_4やNaH_2PO_4溶液に溶かし、当量比を合わせ混合することで調製し、光散乱測定の後、光照射下での毒性試験とMTTアッセイにより細胞への作用を評価した。 第3世代のDP/PEG-6-PLL複合体は平均粒径44nmの単峰性の分布、第2世代では55nmと300nm程度からなる2峰性の分布となることが判った。第2世代の複合体の分子量と会合数は、第3世代の系より1桁高く、この差はデンドリマーの負電荷数と構造の差に起因すると考えられる。第1世代では、単峰性の構造体(粒径127nm)が観察された。分子量と会合数は第2、第3世代の系より著しく高い。透過電顕観察より、第1世代の複合体は小さなミセルの凝集により形成されたと判明した。 DPの蛍光寿命は世代の増加に伴い増大し、PICに内包すると短くなる。内包した際の蛍光寿命の減少は第3世代の場合、他の世代に比べ非常に少ない。これはサイズの大きなデンドロン組織により、DP分子間の凝集が妨げられていることを示唆する。第3世代DPの酸素消費率は、第2世代DPのPICミセルとほぼ同様で、ミセルに取り込まれても強い光力学効果を維持することが示唆された。第3世代のミセルの光毒性は著しく高く、第2世代のDPの130倍であった。第3世代のDPミセルは第2及び第1世代のPIC系より比較的高いPDT効果を示した。
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