2004 Fiscal Year Annual Research Report
コオロギ色素拡散ホルモン様ペプチドの日周期的発現の分子生物学的解析
Project/Area Number |
03F03320
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
富岡 憲治 岡山大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDELSALAM Salaheldin 岡山大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | Pigment-dispersing factor / 視葉 / 概日時計 / 神経ペプチド / 概日リズム / 転写リズム |
Research Abstract |
1.PDF発現の日周性の検討:1)明暗12:12および恒暗条件下で視葉および脳から抽出したペプチドを抽出し、抗PDF抗体を用いた競合的ELISA法によりPDFペプチド量の定量を試みた。その結果、視葉および脳葉の両方でPDF量は日周的に変動し、主観的夜の終わりに最大となり、主観的昼の中ごろに最少となることが明らかになった。2)細胞レベルでの発現リズムを検討するため、抗PDF抗体を用いた免疫組織化学による染色を行った。PDF免疫陽性細胞は、視葉に細胞体をもつ3グループが確認された。一つは視髄基部に細胞体をもつ約15個の集団(PDFMe)であり、他の2つはそれぞれ視葉板と視髄境界付近の腹側(PDFLav)と背側(PDFLad)にある数十個の細胞である。PDFMeには、強い免疫染色性を示す大型細胞(lPDFMe)と比較的弱い染色性しか示さない小型の細胞(sPDFMe)があることを確認した。この抗体の免疫染色では、核内は標識されなかった。共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察では、いずれの細胞も夜間にPDF免疫染色性が高く、昼低い傾向があり、これはほぼELISAの結果と一致していた。 2.pdf mRNA発現の日周変動の検討:転写レベルでの発現制御を見るために、pdf cDNAからdigoxygeninでラベルしたRNAプローブを作製し、in situ hybridization法を確立した。PDFMeでは大型細胞で小型細胞よりも多くのpdf mRNAが合成されていることが明らかとなった。PDFLa細胞でも標識は弱く、pdf転写量は少ないことがわかった。定量的PCRからも、PDFMe細胞での転写量がでPDFLa細胞の役10倍であることが示された。一方予備的なreal time-PCRの結果から、pdf mRNAは明期の終わりよりも明期の開始時に有意に多いことが示された。今後詳細な検討を行う計画である。
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