2004 Fiscal Year Annual Research Report
キュウリおよびトマトの灰色かび病とホウレンソウ立枯病の防除に関する新しいアプローチ
Project/Area Number |
03F03325
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
荒瀬 栄 島根大学, 生物資源科学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN Md.Zahidur 島根大学, 生物資源科学部, 外国人特別研究員
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Keywords | キュウリ / トマト / 赤色光 / 疫病 / 葉かび病 / 褐斑病 / 病害防除 / 誘導抵抗性 |
Research Abstract |
本研究では、ガラス室内で栽培したトマト及びキュウリ苗をビニールハウスへ移した後の病害発生に及ぼす赤色蛍光灯の付加照射の影響を調査した。 キュウリ褐斑病:自然光区では、苗を移して約2週間後にフィルムの違いに関係なくキュウリ褐斑病の発病が認められ(発病指数0.5)、その後発病指数は急速に増加した。27日後には葉のほとんどが黄褐色となり、枯れた(発病指数4)。一方、赤色光区の2つのビニールハウスでは自然光区のキュウリが枯死に至る27日後にようやく僅かな発生が見られた。その後、発生は徐々に拡大したが、いずれの株も健全な状態を保っていた。 トマト疫病:自然光区では、苗を移して28日後にフィルムの違いに関係なく疫病の発病が認められ、その後発病指数は急速に増加した。40日後には病斑は複葉の約50%を占める(指数4)ところまで拡大し、その後も病斑は拡大してゆき、調査を終了時には主茎を残して複葉全てが枯れ落ちる、指数6を示した。しかし、赤色光区の2つのビニールハウスでは調査開始して40日を経過しても発病は見られなかった。46日後に発病が認められ、その後徐々に発病は増加したが、複葉での発生は自然光区の約1/2にまで抑制され、株も枯死することはなかった。 トマト葉かび病:自然光区では、苗を移して約3週間後にトマトの下位葉で葉かび病も発生した。葉の裏に灰色のカビができ、多数の胞子を形成していた。その後、病斑は拡大し、葉の表に黄色の病斑が現れた。トマトの下位の複葉を選び、枝に付いている約10枚の葉について感染葉数(感染率)と、感染した葉に発生した病斑の数を調べた。感染率、病斑数ともに赤色光を付加照射した2つのビニールハウスで抑制がみられた。 以上のことは、ビニールハウスでのトマトとキュウリの栽培期間中の病害防除に赤色光の付加照射による抵抗性誘導効果が非常に有効であり、今後新しい防除法としての有用性が示唆された。
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