2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス下における細胞内ゲノム環境の可塑性と破綻
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03F03342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊國 伸哉 京都大学, 医学研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THAN Tin Aung 京都大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 酸化ストレス / DNA傷害 / アクロレイン / 免疫沈降 / ゲノム |
Research Abstract |
平成15年度の6ヶ月間において、DNAの免疫沈降の条件の最適化を行うことが出来た。平成16年度においては、この条件を使用してデータの収集を推進した。動物モデルとして、酸化ストレス発がんモデルとして確立された鉄ニトリロ三酢酸をマウスの腹腔内に投与する方法を使用した。コントロールおよび投与後6時間のサンプルを採取し、酸化を起こさない条件でゲノムDNAを抽出後、制限酵素処理で断片として、抗アクロレインデオキシアデノシン付加体(ADA)モノクローナル抗体を使用して免疫沈降を行った。各条件について動物3匹、動物1匹に関して100クローン以上をそれぞれシークエンスし、セレラあるいは公共のデータベースと照合することにより、当該クローンの染色体位置、最も近い遺伝子からの距離などに関して詳細に解析した。鉄ニトリロ三酢酸の投与によりADAは有意に増加した。ADAの生成した各染色体の頻度はほぼ染色体のゲノムの長さに比例したものの、全染色体に予想される頻度に関して、カイ2乗検定を行うと、コントロールでp=0.029、鉄ニトリロ三酢酸投与群でp=0.066であった。これはADAのゲノム内での生成部位は必ずしもランダムではなく、鉄ニトリロ三酢酸投与により、そのランダム性がわずかに増加することを意味する。また、鉄ニトリロ三酢酸投与により、特にマウス染色体9番での遺伝子領域上へのADA生成に有意な低下が見られた。さらに、遺伝子領域内でのADA生成は、鉄ニトリロ三酢酸投与により、占めるゲノム領域のより小さな遺伝子で生成がみられるようになった。
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