2005 Fiscal Year Annual Research Report
IGF.I受容体を標的として放射線増感に関する研究
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03F03349
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三浦 雅彦 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
于 冬 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | IGF-I受容体 / 放射線感受性 / 放射線増感 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
これまでに、IGF-I受容体の放射線抵抗性メカニズムに関する研究を行い、生存シグナル経路の冗長的関与機構と、生存シグナルとは独立したC末端に起因する抵抗性制御機構の存在を明らかにして報告した。平成17年度は、in vivoに系を移し、IGF-I受容体活性を修飾した場合に放射線感受性がどのような影響を受けるかについての知見を得ることを最終的な目標として研究を進めた。 腫瘍細胞株としてはHeLa細胞を用い、ヒトIGF-IR cDNAを含むプラスミドを導入して過剰発現株を選択しHeLa-IGF-IRと名付けた。これまでに我々が報告してきたIGF-IRノックアウトマウス由来細胞を用いた結果と同様に、in vitroでのコロニーアッセイにおいて、HeLa-IGF-IR細胞はその親株細胞よりも有意に放射線抵抗性を示した。また、これらの細胞をヌードマウスの皮下に移植すると、予想通りHeLa-IGF-IR細胞がHeLa細胞よりも早く触知可能な腫瘍を形成し、その腫瘍体積の経時的計測の結果、増殖速度も有意に高いことがわかった。そこで、ともに体積が50mm3に到達した所で放射線10Gyを照射し、体積の変化を追った。その結果、意外なことにいずれの腫瘍も同様に増殖が抑制されることがわかった。このことは、少なくともこの腫瘍においては、IGF-I受容体を高発現する方がin vitroでの結果とは逆にin vivoでは放射線感受性を示すことを示している。IGF-I受容体は、HIF-1αの発現を上昇させVEGF産生量を上げ、血管新生を亢進することが知られているので、この結果、腫瘍内酸素分圧が上昇して上記の様な結果に結びついた可能性がある。内因性放射線感受性に加え、低酸素分画や血管新生とういう現象をin vivoでは考慮せねばならず、非常に複雑であることを改めて認識しなければならない。従って、IGF-I受容体の機能を活性化することが逆に放射線増感につながる可能性も出てきたことになる。他の腫瘍細胞を用いたモデルにおいても検討し、再現性の確認と、腫瘍内酸素分圧測定が必要である。
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Research Products
(1 results)