2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素適応応答を標的とした固型癌の分子標的治療法の開発
Project/Area Number |
03F03351
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
守内 哲也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Jian 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 低酸素 / 転移 / アポトーシス / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
Pim-1蛋白が低酸素下で発現亢進するという事実に基づいて,Pim-1蛋白の活性を阻害することによって癌治療が可能かどうかを検討した。11個のアルギニンをつないだ蛋白質が細胞内へ自由に入ることが可能であるとの報告があり,11個のアルギニンを分泌シグナルをつないだdominant negative Pim-1蛋白(11R-DNPim-1)の前に結合したような蛋白をコードする遺伝子発現ベクターを作成した。SCIDマウスモデルにヒト膵癌細胞株PCI-43細胞を背部皮下に移植し,発現ベクターを大腿部筋肉内に9日目に注射した。その後腫瘍増殖を観察したところ,コントロールベクター注射群では増殖してきたが,11R-DNPim-1発現ベクター注射群では21日目には腫瘍がほぼ完全に縮小した。この結果は,11R-DNPim-1発現ベクターを用いる癌の遺伝子治療法の開発が可能であることを示唆しており,今後は注射量の減量などの課題を克服することが必要となる。また,合成化合物ライブラリーからのPim-1活性阻害物質の探索をPim-1のWAF-1リン酸化活性阻害活性を測定するスクリーニング系を用いて探索した。その結果40%以上のPim-1活性を阻害する合成化合物が14個見つかった。それぞれの用量依存性,低酸素下における抗癌剤耐性解除効果などの検討を行った上で,今後はマウスモデルでの抗腫瘍効果の検討が必要と思われる。また,低酸素下で転移に関連するセレクチンライガンドの発現が癌細胞で亢進し,DNPim-1の発現によって発現亢進が抑制されることを見出した。この事実は,低酸素環境が転移を促進するという可能性を示唆する。
|
Research Products
(2 results)