2004 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫が生産するヒスチジンリッチプロテイン2による原虫の宿主免疫システムからの回避機構の解析
Project/Area Number |
03F03361
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀井 加恵子 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN Tien Huy 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 外国人特別研究員
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Keywords | マラリア / ヒスチジンリッチプロテイン / 血液凝固 / 血液線溶 |
Research Abstract |
マラリア原虫Plasmodium falciparumは感染赤血球内でヘモグロビンを分解し、栄養源とする。その際に副産物として生成する遊離のヘムが毒性を持つために原虫はヘムを無毒化する機構を有している。その一つが、原虫が生産するヒスチジンリッチプロテイン2(PfHRP2)である。PfHRP2は9残基からなる配列Ala-His-His-Ala-His-His-Ala-Ala-Aspの繰り返し構造からなるタンパク質である。PfHRP2はそのヒスチジン残基を介してヘムと結合し、ヘムと膜の結合を阻害し、また膜に結合したヘムを膜から除去するなどによって、ヘムによる膜構造の破壊を抑制する。しかし、PfHRP2は破裂した感染赤血球から放出され、宿主血中にも存在する。本研究はPfHRP2の血中での機能の解明を目的としている。 これまでに、PfHRP2はプラスミノーゲン、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、IgMと結合することを明らかにした。また、PfHRP2は補体系および血管内皮細胞の増殖に影響を与えなかった。線溶系への影響を検討した結果、PfHRP2は線溶系を弱く阻害した。これは、PfHRP2がプラスミンの酵素活性を阻害することによってもたらされることを明らかにした。 さらに、血液凝固系について検討した結果、PfHRP2は外因系を阻害しないが、内因系を阻害した。これは、内因系を構成する酵素のいずれかの活性がPfHRP2によりて阻害されることによると考えられ、現在、その詳細を解析中である。また、PfHRP2は多糖であるデキストランおよびヘパリンと結合した。ヘパリンは抗血液凝固活性を有しており、PfHPR2はヘパリンと競合する可能性が示された。以上より、血液凝固および線溶系における生体内でのバランスがPfHRP2によって攪乱されることが、マラリアの症状の一つであるプロコアグラント状態を引き起こしている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)