2004 Fiscal Year Annual Research Report
非接触原子間力顕微鏡を用いた金属酸化物単結晶薄膜の原子スケール評価
Project/Area Number |
03F03546
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 洋 神戸大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHI Lun Pang 神戸大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 非接触原子間力顕微鏡 / ケルビンプローブ顕微鏡 / 酸化チタン / 色素増感太陽電池 / ルチル / アナターゼ / カルボン酸 |
Research Abstract |
可視光を吸収する色素分子膜で被覆した二酸化チタン薄膜は、色素増感太陽電池として実用化をめざす開発研究が活発に行われている。ところが、色素分子と酸化物結晶との化学結合形態が、光励起電子移動におよぼす影響は明らかになっていない。組成と原子レベル構造を規定したルチル型二酸化チタン(110)単結晶表面をフルオレセイン色素誘導体で被覆して、走査トンネル顕微鏡で観察した。 一般に色素分子は大きな分子量をもち熱安定性が不十分なため、真空槽のなかで単結晶基板に蒸着することが難しい。色素増感太陽電池を作成するプロセスにおいては、二酸化チタン薄膜を色素溶液に浸漬して色素を吸着させている。しかし、超高真空中で作成した原子レベルで規則正しい構造をもつ単結晶基板を大気中にとりだして色素溶液に浸漬しても、大気中の水・二酸化炭素・有機物などの汚染のために、稠密かつ秩序性のある色素分子膜が得られない。そこで、超高真空中で作成したルチル型二酸化チタン(110)表面を嵩高い置換基をもったカルボン酸イオン(ピバル酸イオン:(CH_3)_3CCOO^-)を吸着させて保護したうえで大気中にとりだした。ピバル酸イオン単分子膜で保護した結晶を色素溶液に浸漬し、カルボン酸官能基をもった色素分子がピバル酸イオンを交換して吸着させた。 この方法で作成した色素分子膜を超高真空槽に挿入して顕微鏡観察すると、ひとつひとつの色素分子をナノサイズの小粒子として識別することができた。最終年度となる17年度には、より実用的な酸化チタン材料として知られるアナターゼ型二酸化チタン単結晶膜を合成し、その上に吸着した色素分子を非接触原子間力顕微鏡およびその発展形であるケルビンプローブ顕微鏡で観察する。本研究で開発した分子膜作成法は色素以外の機能性分子にも応用できる。生体物質を含む種々の有機化合物と二酸化チタンとの接合界面を作成する手法として有望である。
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