2005 Fiscal Year Annual Research Report
非接触原子間力顕微鏡を用いた金属酸化物単結晶薄膜の原子スケール評価
Project/Area Number |
03F03546
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 洋 神戸大学, 理学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHI Lun Pang 神戸大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 非接触原子間力顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / 酸化チタン / 色素増感太陽電池 / ルチル / カルボン酸 / ドーパント / 酸化マグネシウム |
Research Abstract |
(1)二酸化チタン表面に吸着した水素原子の位置選択操作 原子スケールの位置分解能をもつ走査トンネル顕微鏡の探針に通常より高い電圧をかけると表面原子を操作できる。これを利用してワイドバンドギャップをもつ光機能材料として注目される二酸化チタン表面に吸着した水素原子を原子操作した。 (2)二酸化チタン表面に液相から吸着させた色素分子の顕微鏡観察 化学吸着した色素から二酸化チタンへの光励起電子移動は色素増感太陽電池としての実用化をめざして研究が進んでいる。走査トンネル顕微鏡は個々の吸着色素分子を画像化する分解能をもつが、原子レベルで平坦な表面構造を保持して蒸気圧の低い色素を吸着させることが難しかった。トリメチル酢酸イオン単分子層が大気中で安定な保護膜となることを見いだして、アセトン溶液からフルオレセイン系色素を交換吸着させて顕微鏡観察した。個々の色素分子を明瞭に識別することができた。この手法はCOOH基をもつ有機物一般に拡張できるため、色素増感太陽電池に利用されるルテニウム錯体をはじめとして種々の色素化合物を用いた研究への道がひらけた。 (3)二酸化チタン表面へのアンモニア吸着 二酸化チタンに窒素をドープすることにより可視光による光励起が可能になる。窒素ドーパントの位置と光機能を顕微鏡計測することを目的として、原子スケールで平坦な二酸化チタン表面をアンモニア気流中で加熱して窒素原子をドープする試みを始めた。第一歩として、室温で化学吸着したアンモニア分子の顕微鏡画像を捉えた。 (4)非接触原子間力顕微鏡によるMgO表面とBaO薄膜の観察 MgO(100)単結晶面とそこに蒸着したBaO薄膜を非接触AFMで観察して、原子分解能画像を得ることに成功した。絶縁体表面の高分解能画像を得ることはいまだ難しく、世界的にみても成功例は少ない。
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