2004 Fiscal Year Annual Research Report
北西太平洋低緯度海域における海洋生態系のレジームシフトと魚類資源の動態
Project/Area Number |
03F03602
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 良朗 東京大学, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Shang 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 東シナ海 / レジームシフト / 浮魚資源 / 底魚資源 / 海表面水温 / 気象指標 |
Research Abstract |
北西太平洋低緯度海域の中で魚類資源の再生産の場として最も重要な東シナ海に着目し、環境変動と魚類資源変動との対応関係を検討した。7の気象・海象に関する指標と11の浮魚資源、5の底魚資源について、50〜130年のデータを遡って解析を行った結果、興味ある対応関係が明らかとなった。 海表面水温は1870年代から1940年代半ばまで低く、その後1980年代末までは平均的で、それ以降には温暖化した。水温、夏季の季節風、アリューシャン低気圧などの気象・海象指標から判断すると、20世紀中盤以降に1958-62年、76-80年、88-91年の3回レジームシフトが起こった。58-62年のレジームシフトに対応して、カタクチイワシとマアジが増加に、ウルメイワシとヒラメ資源が減少に転じた。76-80年のレジームシフトに対応して、マイワシが増加に転じたのに対して、マダイやカタクチイワシが減少に転じた。88-91年のレジームシフトに対応して、マアジ資源が増加に転じ、カツオとクロマグロ資源が減少に転じた。 東シナ海における以上のような気象・海象のレジームシフトと魚類資源変動との対応関係を見ると、カタクチイワシやマアジが低温レジームで増加し、マイワシは温暖レジームで増加するというように、西部北太平洋全体におけるレジームシフトとは様相を異にしており、東部北太平洋における変動と類似していた。東シナ海の海象・気象のレジームシフト、特に海水温は、季節風やそれに対応する長江の流出量などの地域的変動の影響を強く受けるため、西部北太平洋全域の変動とは異なると考えられた。
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Research Products
(2 results)