2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03704
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木田 重雄 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VAN Veen Lennaert 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 乱流 / 高対称流 / 周期運動 |
Research Abstract |
乱流の様相は千変万化し二度と繰り返されることがなく,普遍法則などを流れの瞬間場の構造から抽出することは不可能である。また,乱流の運動状態は無限に多様で,乱流場を代表する典型的なサンプルを掘り当てることはとてもできない。たとえ,ある乱流場のデータを解析したとしても,それが果たして乱流の典型的な姿であるのか,という心配がいつもつきまとう。 そこで,われわれは乱流運動の典型的な姿を具現する時空間組織構造としての周期軌道を求めることにした。ところが,乱流中の周期運動は不安定なので,自発的にその姿を見せることはなく,実験でも数値シミュレーションでも捉えることができない。ただ,数値乱流においては,何らかの方法で近似的にその姿がわかりさえずれば,ニュートン-ラプソン法などの反復解法を用いて,周期運動を求めることができる。 乱流は多数の自由度が励起した状態であるが,周期運動の探索は対象とする力学系の自由度が大きくなると極度に難しくなるため,これまで誰もなし得ていなかったのである。そこで,われわれは,流体の運動法則のもつ空間対称性を最大限に備えた,いわゆる高対称流を取り上げ,この中で周期運動の探索を行った。案の上,この作業は困難を極めた。まず周期運動そのものを見つけることも容易でなかったが,その中から乱流と同じ統計的性質を示すものを取り出すことはさらに大変であった。半年以上の試行錯誤の末,われわれはやっと乱流運動に埋め込まれた特別な周期運動を世界で初めて発見した。周期運動は乱流に比べて格段に取り扱いがやさしいので,それを用いて拡散や混合など,乱流の力学的はたらきを詳しく研究する道が開けたといえよう。
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Research Products
(2 results)