2004 Fiscal Year Annual Research Report
最先端の分析手法を駆使して,石灰石などの脱硫効率を大幅に向上させる新しい技術の開発に取り組む
Project/Area Number |
03F03705
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KARIN Laursen 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 高温脱硫 / 石灰石 / 硫化水素 / マクロ構造 / 造粒 / 酸化 |
Research Abstract |
現在提案されている石炭を原料とした高効率発電システムには、排ガス中の硫黄化合物や塩素化合物を効率的に除去することが必要不可欠である。昨年度は種々の粒径の石灰石とH2Sの反応について検討したが、本年度は、昨年度調製しで性能の高かった試料について、脱硫終了後に900℃で酸化を行い、酸化特性を検討した。 試料としては、900℃で20分間スチーム処理をしたマクロポーラスなCaOを用いた。試料はまず900℃でH2Sとほぼ完全に反応させ、重量増加が見られなくなってから雰囲気ガスを空気に切り替え、酸化を開始した。酸化反応の開始とともに試料の重量は急激に増加し、硫化カルシウムが酸化されて硫酸カルシウムに変わるとともにSO2も生成し、硫化カルシウムから酸化カルシウムにも変わることがわかった。このことは、試料のX線回折からも確かめられ、硫化カルシウムとともに明確な硫酸カルシウムと酸化カルシウムの回折ピークが確認された。生成ガスについては、質量分析計でモニターしたが、SO2の生成は酸化初期のみであった。引き続き雰囲気ガスを空気からヘリウムに変えると、重量が徐々に減少するとともにSO2が生成し、硫酸カルシウムが分解することがわかった。ヘリウム中で重量がほぼ減少しなくなるまで分解させた試料のX線回折からは、硫酸カルシウムの回折ピークは見られず、生成した硫酸カルシウムはすべて酸化カルシウムになると考えられた。これら一連の操作において、重量変化とSO2の生成速度から酸化に伴うカルシウムの形態変化を推定すると、H2Sとの反応ではカルシウムはほぼ完全に硫化カルシウムになり、その後の酸化反応では70%程度が硫酸カルシウムもしくは酸化カルシウムに変わることがわかった。この時の酸化カルシウムの量は硫酸カルシウムの1/5程度であると推測された。
|