2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03709
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 利明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GUNAR Schnell 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | スピン / クォーク / 陽子 / 中性子 / 深非弾性散乱 / グルーオン / 素粒子 / 電子 |
Research Abstract |
外国人特別研究員Gunar Scnell氏は、平成15,16年度に科学研究費補助金を受けたが、その2年目である平成16年度には、11.「研究発表」の欄の第2番目に挙げた論文に大きく貢献して、研究の総仕上げを行った。この研究の目的は、素粒子物理、特に、陽子と中性子(まとめて核子と呼ぶ)のスピン構造の研究である。核子のスピンは1/2であるが、それがどのようにその構成要素からつくられているかを解明するために、新しい実験の手法を用いた。即ち、Schnell氏は、横偏極の陽子標的による電子深非弾性散乱実験を用い、データ解析グループの責任者を務めて論文にまとめて発表した。 従来は、核子のスピン1/2は、核子の中にあるクォーク3個のスピンからできていると考えられていたが、1988年のEMCグループの実験により、核子のスピンに対するクォークのスピンの寄与は小さいことが明らかとなった。これを「核子のスピンの問題」と呼んでいる。それを解明すべく、HERMES実験はドイツのDESY(ドイツ電子シンクロトロン研究所)でデータをとり、データ解析の拠点がある東工大へ送ってデータを解析した。 核子のスピンに対するクォークのスピン以外の寄与としては、グルーオンのスピンの寄与、および、クォークやグルーオンの軌道角運動量の寄与が考えられる。 Schnell氏は、素粒子物理の理論について広い知識を持っており、それに基づいてデータ解析の方法を提案し、実際に解析した。そして、横偏極の標的で、従来の実験では分離できていなかったCollins効果とSivers効果を分離することに成功した。Sivers効果は、クォークの軌道角運動量と関係があり、理論的発展と相まって、核子のスピンの問題の新しい進展が可能となった。
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Research Products
(6 results)