2004 Fiscal Year Annual Research Report
東南極リュツォ・ホルム変成岩体のU-Pb地球年代学
Project/Area Number |
03F03724
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
本吉 洋一 国立極地研究所, 研究教育系, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUNKLEY Daniel J. 国立極地研究所, 研究教育系, 外国人特別研究員
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Keywords | 東南極 / リュツォ・ホルム変成岩体 / U-Pb地球年代学 / 二次イオン質量分析計 / パン・アフリカン変動 / 温度・圧力履歴 |
Research Abstract |
第40次南極観測隊(1998-1995年)に参加して採取した南極リュツォ・ホルム岩体スカルビクスハルセンの岩石試料を粉砕して、U-Pb同位体分析のためにジルコンとモナザイトの鉱物を選別するとともに、光学顕微鏡観察および電子線マイクロプローブ分析のための岩石薄片を作成し観察を行った。この研究は、高温変成作用の間の部分溶融作用とジルコン・モナザイトの成長との前後関係を明らかにする目的で行った。特に、モナザイトと他の鉱物との反応関係に注目するとともに、二次イオン質量分析計(SHRIMP)を用いた年代測定も行った。 予察的なSHRIMP測定結果からは、約5億3000万年前の広域変成作用に伴ってのジルコン成長が示唆される。微細なオシレタリーゾーニング、自形外形、およびU/Th比などの情報から、ミグマタイト組織を示す泥質片麻岩中の大部分のジルコン結晶がメルト存在下での融解反応に伴って成長したか、あるいは、冷却過程でメルトから直接成長したか、そのどちらかの結晶作用を示唆する。セクターゾーニングを持つUに富むジルコン結晶も見られるが、それらは融解反応とは無関係に成長したと考えられる。 さらにこうしたSHRIMP測定結果は、リュツォ・ホルム岩体の原岩となる地殻物質の情報も与える。一般的にリュツォ・ホルム岩体は太古代の堆積物が原岩となっているが、火成岩原岩については約18億2000万年前ごろに形成したものである。それより若い年代(後期原生代の時期)の原岩物質はこれまでのところ測定した試料からは見いだされていない。 これらの成果の一部については、Polar Geoscienceに共著者の一人として発表した。また、その後に得られた成果については投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)