2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03766
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松下 一信 山口大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRCEK Janja 山口大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 酢酸耐性 / アルコール脱水素酵素 / 高度酢酸耐性酢酸菌 / 中度酢酸耐性酢酸菌 / RT-PCR |
Research Abstract |
酢酸菌はエタノールを酸化して酢酸を高濃度に培地中に蓄積する。そのため、他の細菌にみられない高い酢酸耐性能を有している。この酢酸耐性能は、ヨーロッパで酢酸発酵に用いられる高度酢酸耐性菌(15%もの蓄積)と日本国内で用いられる中度酢酸耐性菌(5-6%の蓄積)で大きく異なっている。本研究では、この高度酢酸耐性菌と中度酢酸耐性菌の酢酸耐性機構を比較研究し、酢酸菌の酢酸耐性機構と関与する遺伝子を明らかにするとともに、この酢酸耐性と酢酸生成に関与するアルコール脱水素酵素(ADH)との関係を明らかにすることを目的として行われた。 1.高度酢酸耐性菌と中度酢酸性菌のADHの比較:前年度、3種類の高度酢酸耐性菌の細胞膜からADHを分離精製し機能解析を行った結果、これらの酵素は中度酢酸耐性菌の酵素とその性質に大きな違いは見られなかったが、酢酸に対して高い安定性を示すこと、その発現量が大幅に高くなっていることが明らかとなった。そこで、今回これらの発現量をRT-PCRにより解析したが、その発現に大きな上昇は見られなれなかったため、高度耐性菌のADHはmRNAの安定性が中度耐性菌のそれと比べて高いものと判断された。 2.高度酢酸耐性菌にみられる95KDaタンパク質:前年度に、高度酢酸耐性菌の酢酸発酵条件下で酢酸濃度の上昇とともに増加していることが明らかとなった95kDaタンパク質のさらなる解析を行った。膜画分をショ糖密度勾配遠心で解析したところ、このタンパク質は細胞質膜に局在することが明らかとなった。また、そのタンパク質を特定するため、N末端アミノ酸配列およびCnBr分解ペプチドのアミノ酸配列分析を行った。その結果、一部のペプチドに多剤耐性因子に相同性を示すものが見つかった。今後このタンパク質の機能解析をさらにすすめる予定である。
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Research Products
(3 results)