2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03F03768
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河東 泰之 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAMAN Srinivasan 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 自己準同型半群 / 作用素環 / 共形場理論 |
Research Abstract |
日本学術振興会外国人特別研究員の任期中,関連する二つの研究テーマについての成果をあげた. 共形場理論に対する作用素環的アプローチでは円周上の作用素環のネットが基本的な研究対象である.Wiesbrockによって,この作用素環のネットは,half-sided modular inclusionと呼ばれる作用素環二つの組で記述されることがわかっている.このhalf-sided modular inclusionは冨田-竹崎理論によるモジュラー自己同型群から生じる自己準同型半群によって特徴付けられる.これは,E_0-半群の例になっているが,通常のE_0-半群の研究はB(H)上の自己準同型半群を考えるのに対し,今はIII_1型因子環上り自己準同型半群を考えているという違いがある.通常のB(H)上のE_0-半群の理論をIII_1型因子環上の自己準同型半群に適用する研究を行った. もともと作用素環のネットにおいては,Doplicher-Haag-Roberts自己準同型が重要なものであることが古くから知られているので,それをhalf-sided modular inclusionの枠組みに翻訳することが必要になり,これをまず実行した. また,B(H)上のE_0-半群についての研究成果は次の通りである.確率積分の方法によって,和系と呼ばれる自ら導入した対象から,Arversonの考えた積系を作る手法を確立した.これは,HudsonとParthasarathyの量子確率積分の理論をもっと一般的な状況に拡張したことになっている. 次にL^2(0,∞)上の標準的流れの等距離写像半群のHilbert-Schmidt摂動を用いてCCR流の一般化を行った.これが上の意味での和系から生じていることも示された.このようにして生じるE_0半群がいつIII型になるかの判定条件も与えている.この条件を用いて実際に,3種の互いに異なるIII型E_0-半群を構成した.
|