2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物のアルミニウム耐性遺伝子の分離とその機能解析にもとづく分子育種への応用
Project/Area Number |
03F03770
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PANDA Sanjib Kumar 岡山大学, 資源生物科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | アルミニウムストレス / タバコ培養細胞 / エンドウ根 / ミトコンドリア / AOX呼吸増大 / アルミニウム耐性 |
Research Abstract |
細胞およびエンドウ根におけるAl毒性と耐性の分子機構についてAlシグナルによるミトコンドリア機能の変動について研究し、以下の成果を得た。 Al感受性タバコ(SL細胞)とAl耐性タバコ(ALT301)はともにAl処理18時間で生育の低下が認められた。SL細胞、ALT301細胞ともに、単離ミトコンドリアのステート3および4呼吸の低下がAlストレスで誘導された。しかしALT301細胞の方が阻害の受け方ははるかに小さかった。SL細胞をAl処理するとAOX-およびCYT-呼吸ともに阻害されたが、ALT301細胞のミトコンドリアではAOX-経路が逆に15%程度増加していた。SL細胞のミトコンドリアではROS(活性酸素類)の生成が増加したが、ALT301細胞では逆にAlストレス下で減少した。両細胞ともにミトコンドリアの内膜機能の低下とチトクロームCの流出をともなわない内膜孔の開口が認められた。またTONEL反応に陽性の核が認められたことから、Al処理を18時間行うと細胞死が起こることを認めた。ウエスタンブロット解析からALT301細胞のミトコンドリアではAOXタンパク量が増加していたが、SL細胞では変化していなかった。AOX経路の増大とその構成タンパクの増加を考慮すると、AOX1遺伝子がALT301細胞におけるAl耐性をになっている有力な遺伝子の候補と考えられた。そこでAOX1遺伝子をタバコから調製し発現量を調べた。Al処理12,18時間後ではSL, ALT301細胞ともに転写抑制が認められたが、ALT301に比べてSL細胞ではダウンレギュレーションの割合が大きかった。 エンドウ根解析ではAl誘導性の呼吸阻害、ROSの生産増大をともなった酸化還元ホメオスタシスの破壊、エネルギー産物の変動などを認めた。
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