Research Abstract |
日本における国民平均年齢は年々高くなっており,21世紀中盤には,国民の3分の1以上が65歳以上になると推定されている.同様な現象が,イタリアをはじめ世界中の先進国においても起こっている.そのような中,われわれ人間と共生し心身のサポートが可能な新世代ロボットパートナーが期待されている.さらに,それらは高齢化社会における安全と平和の向上に貢献できると考えられる.そして,われわれは,円滑で自然な人間とロボットのインタラクションが重要と考えた. 本年度は,筋電やゴニオメータ,人工前庭動眼反射などの生理指標も用いた人間とロボットのインタラクションに関する研究を行った.本研究による成果は,宇宙空間における船外活動や,微細作業を伴う手術のように,人間には不可能な環境下でのさまざまなタスクにおける作業精度の向上が期待される.さらに,本研究による技術や方法論は,高齢者や障害者の生活の質の向上に応用可能と考える. そして,研究の第1段階として,体表面筋電活動による被験者の腕の動きを計測するシステムに関する研究を行った.具体的には,手首部の短橈側手根伸筋,尺側手根伸筋,橈側手根屈筋,尺側手根屈筋,4つの筋肉の筋電を計測し,ファジー理論を用いた認識アルゴリズムによって,内転・外転・屈曲・伸展という手首の異なった動きを,被験者や実験の差異によらず,識別可能とした.その結果,本システムによって99%に近い正常認識率を得ることができた. 今後の展望としては,被験者の意識やストレスの強度を認識するため,本システムと被験者の動作を認識可能な外骨格システムとの統合を予定している.
|