2004 Fiscal Year Annual Research Report
紅藻スサビノリの生殖細胞形成に関与する遺伝子の同定
Project/Area Number |
03F03912
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
天野 秀臣 三重大学, 生物資源学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
COURY Daniel Adam 三重大学, 生物資源学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 海藻 / 紅藻 / スサビノリ / 生殖細胞 / 栄養細胞 / 細胞分化 / 環境反応 / 環境認識 |
Research Abstract |
紅藻スサビノリ葉状体は,低水温,短日条件下では成熟することなく成葉まで生長するが,高水温,長日条件下では葉状体栄養細胞の雌雄生殖細胞への分化が誘導・促進される.したがってスサビノリ葉状体には,外部環境(水温及び光周期)の変化を認識する機構と,それに応答して生殖細胞を形成する機構が存在すると考えられる.そこで本年度は,葉状体が環境変化を認識して成熟を始めるまでの一連の分子機構の初期段階に関与する遺伝子群の単離・同定を目的として,未成熟及び成熟初期藻体における発現遺伝子の比較解析を行った. 低水温,短日条件下で培養して調製した未成熟藻体と,培養条件を高水温,長日条件に変更して成熟誘導し,藻体先端部に生殖細胞の形成が認められた成熟初期藻体から抽出・精製したmRNAにつき,クロンテック社製キットを用いてcDNAサブトラクションを行い,未成熟及び成熟初期藻体で発現増加する遺伝子のプラスミドcDNAライブラリーを構築した,各ライブラリーから無作為に選抜したcDNAクローンをナイロンメンブレンにスポットしてcDNAマクロアレイによる発現解析に供し,成熟初期藻体で発現量が特に増加する24個のcDNAを同定した.各cDNAの塩基配列を決定してBLASTプログラムによる相同性検索を行ったところ,うち19個のcDNAは窒素代謝系に関与する遺伝子,2個はRubisco large subunit,1個はprotein translation factor SU1,1個は26S proteasome subunitと同定され,残る1個はヒトのnucleobindinと極めて低い相同性が認められた. 今後は,未成熟藻体,成熟誘導藻体(成熟誘導を行うが生殖細胞の形成が認められない藻体),成熟初期藻体を調製し,各藻体間での発現遺伝子の比較解析を行う予定である.
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