2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00093
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 さやか 筑波大学, 社会工学系, 特別研究員(PD)
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Keywords | マンション / 建替 / 紛争 / 都心居住 / 地域合意 / 地域共生 / 開発協議 / まちづくり |
Research Abstract |
本年度は、周辺環境への影響に配慮した容積増大型マンション建替手法の検討として、マンション建替と既成市街地における住宅開発に関して、文献調査及び関連セミナーから情報収集した。さらに、大規模開発を行う際の周辺環境への配慮のあり方として、東京都内のマンション紛争事例の調査を行った。 建築後30年以上経過したマンションでは、建替によって躯体老朽化への対応や住環境の改善が行われる。マンション建替は、余剰容積の売却で建設費を捻出、等価交換で居住者の費用負担を軽減又はなくし、従前より広く環境の良い住戸を提供する方法が一般的であるが、実際の成功事例は全体の1%にも満たない。しかし、社会経済状況が厳しい中、収益性だけでなく、コミュニティの継続性や居住空間の改善を重視することで、自己負担を要する建替への居住者の合意を取り付けた事例(同潤会江戸川アパートなど)が出てきていることがわかった。また、荒川区では、シルバーハウス(有料老人ホーム)とコレクティブハウスを組み合わせた、地域に貢献する新いタイプの住宅供給が行われている。単なる余剰床としてではなく、地域貢献機能を併せ持つ用途の創出という点で、今後の活用が期待される。 周辺と紡争が生じたマンション開発の現地調査(国立市・新宿区など>からは、周辺から著しく突出した開発が問題となっており、街並みや景観への配慮を求める住民の活動が活発になっていることが明らかになった。紛争の対応としては、開発協議や地区基準の導入によって、周辺と調和した開発を規制誘導する必要がある。京都市アーバネックス三条や台東区ライオンズガーデン谷中三崎坂で、地域住民と事業者の協議による開発が実現しており、マンション建替においても建物内だけでなく、周辺も巻き込んだ開発協議の必要住が示唆される。
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