2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00093
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 さやか 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マンション / 建替 / 紛争 / 開発協議 / まちづくり / 都市計画 / 地区計画 / 条例 |
Research Abstract |
容積が著しく増大するようなマンション建替を実施する場合、周辺環境への影響が大きいことから、開発に先駆けて事業者・行政・住民が協力して建築計画を検討するような開発協議の実施が有効であると考えられる。そこで本年度は、そのような開発協議が行われている取り組みの調査分析を行った。 文献調査から、近年、法定都市計画を補完するため、まちづくり条例等の策定により、建物形態から意匠までを対象とし、関係主体の意向を踏まえた開発協議の仕組みを用意する自治体が増えていることがわかった。そこで、開発協議の仕組みの実態と成果を明らかにし、同種の協議方式が有している問題点と改善点を検討することを目的として、典型的な開発協議の仕組みを有する国立市都市景観形成条例を対象に調査分析を行った。 国立市では、一定規模以上の開発を行う際に、景観条例で定めた手続きを経ることを義務付けている。このうち、特に景観に重要な影響を及ぼす開発については、景観審議会で審議し、開発内容の変更等を求めることができる。条例施行後5年間に届出があった88件のうち、景観審議会による審議が行われた開発は6事例あり、これらの協議過程の分析から、以下の点が明らかになった。 建物形態(高さ・規模)については、明確な基準がないため、当初案から階数・容積率削減を評価して、協議を終結する傾向がみられた。一方、建物の利用方法やデザイン(店舗設置、空地、色彩等)では、事業採算性を左右しない小さな変更で対応可能な場合は事業者の協力が得られているが、指導内容自体が具体性に欠け、事業者の回答も抽象的であるため、指導の意図した水準が達成されていないと思われるケースも発生していた。したがって、事前に望ましい水準を明示しない開発協議では、当初案から相対的にどれほど譲歩したかではなく、開発後に生じる景観の質を評価しながら審議することが必要であると考えられる。
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Research Products
(1 results)