2004 Fiscal Year Annual Research Report
コロンボの理論の微分方程式への応用と一般関数の空間の拡張について
Project/Area Number |
03J00097
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
出口 英生 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 放物型方程式 / 初期値問題 / 不連続な非線形項 / 一般関数解 / 連続解 / 存在性 / 一意性 / 漸近挙動 |
Research Abstract |
本年度のテーマは,不連続な非線形項を持つ放物型方程式に対する初期値問題のコロンボの意味での一般関数解の研究である.このような問題は,ゲーム理論における最適反応動学のモデルとして生じ,解はプレイヤーの集団の戦略分布を表す.よって,0と1の間に値をとる解に興味がある.昨年度,このような問題の連続解を研究し,一般に最大連続解と最小連続解は異なることを示した.しかし,このような問題は一意な一般関数解を持つ.この一見,不可思議な現象を解明しようと考えたのが、この問題を扱った動機である.連続解と一般関数解の関係を議論し,次の結果を得た. (1)連続解が一意である場合,一般関数解は連続解にassociateする.これは一般関数解の情報を超関数の情報のレベルに落としたとき,連続解のように振舞うということを意味する. (2)連続解が非一意な場合,最大連続解または最小連続解にassociateする一般関数解が存在する.これは,一般関数の空間において,最大連続解と最小連続解を,それぞれ異なる初期値を満たす一般関数解とみなすことができるということを意味する. また,昨年度の続きとして,最適反応動学のモデルとして生じる不連続な非線形項を持つ放物型方程式系に対する初期値問題の(0,0)と(1,1)の間に値をとる連続解を研究した.具体的な成果は次の通りである. (1)最大連続解と最小連続解が存在する. (2)単調な初期値のあるクラスに対しては,解の一意性が成り立つ. (3)単調な初期値のあるクラスに対して,非線形項の不連続点の和が1より小さいならば,時間無限大において連続解は(1,1)に漸近収束し,不連続点の和が1より大きいならば、時間無限大において連続解は(0,0)に漸近収束する. 以上の結果は,現在投稿するために準備中である.
|
Research Products
(2 results)