Research Abstract |
平成16年度に継続して,まず,ゲーム理論における最適反応動学のモデルとして生じる不連続な非線形項を持つ放物型方程式系に対する初期値問題の(0,0)と(1,1)の間に値をとる連続解の安定性を研究した.具体的な成果は次のとおりである. (1)非線形項の不連続点の和が1より大きいならば,定常解(0,0)は,コンパクト開位相の意味で,漸近安定である. (2)非線形項の不連続点の和が1より小さいならば,定常解(1,1)は,コンパクト開位相の意味で,漸近安定である. (3)非線形項の不連続点の和が1であるならば,定常解(0,0)と(1,1)は,コンパクト開位相の意味で,漸近不安定である. これらの結果については,アメリカ合衆国のフロリダで開催された国際会議(Conference on Differential & Difference Equations and Applications)において発表した.また,これらの結果は現在,学術雑誌「Monatshefte fur Mathematik」に投稿中である. 次に,本年度のメインのテーマである,佐藤の超関数の空間を含む一般関数の空間の存在を調べた.しかしながら,採用期間終了までに発表に値する結果を得るまでには至らなかったが,今後もこのテーマの研究を継続する予定である. また,今年度も海外での研究活動として,オーストリアのインスブルック大学のOberguggenberger先生とヴィエナ大学のHormann先生を訪問し,研究課題について共同研究を行った.
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