2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00124
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長谷川 剛 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光屈性 / 光屈性分子 / 光誘導性成長抑制物質 |
Research Abstract |
前年度、トウモロコシ幼葉鞘の光屈性分子として単離・同定し、更にその生合成経路を解明したDIMBOAが、処理後60分においてIAA早期応答遺伝子であるSAUR遺伝子発現を抑制することを明らかにした。本年度は、DIMBOAが生成される際に必要な加水分解酵素であるβ-glucosidaseの活性が、光照射後10分で光側組織において増量し、30分後には減少することを明らかにした。一方、影側組織におけるβ-glucosidase活性に経時的な変化は見られなかった。また、β-glucosidase活性抑制物質を処理すると光屈性の屈曲角度が低下したことから、β-glucosidaseの活性偏差が光屈性に重要であることが分かった。これらの結果、トウモロコシ幼葉鞘の光屈性は、光側組織において一過的に増大する酵素・β-glucosidase活性が光屈性分子・DIMBOAの生成を誘導し、増量したDIMBOAが光側組織の成長を抑制し、影側組織との間に生じる偏差成長が屈曲を誘導することが強く示唆された。 次に、光屈性分子の挙動を遺伝子レベルから明らかにするために、双子葉植物であるダイコン下胚軸の光屈性分子・MTBI及びraphanusaninに応答する遺伝子を探索した。Differential screening法を用いて、青色光により発現が誘導されるMTBI及びraphanusanin応答性遺伝子の同定は現在進行中である。 その他、ヒマワリ下胚軸における光屈性分子を探索した結果、光側組織において生成が誘導される新規成長抑制物質として強い抑制活性を有する化合物を単離し、Helianと命名した。現在、立体構造の解析を行っている。また、イネ幼葉鞘における光屈性分子を探索した結果、強い抑制活性を有する新規化合物を複数単離した。現在、MS、NMR等各種機器分析を用いて詳細な構造解析を行っている。
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