2003 Fiscal Year Annual Research Report
基盤岩石の異なる丘陵地における谷の形成条件の定量的評価
Project/Area Number |
03J00207
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八反地 剛 筑波大学, 地球科学系, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 降雨流出 / 土砂流出 / 水文地形学 / 河道発生条件 / 湧水 / 基盤岩石 |
Research Abstract |
本年度は,2000年に開始された足尾山地東部のチャート地域,砂岩・頁岩地域における降雨流出観測,土砂流出観測を継続した.足尾山地チャート地域の観測データから降雨流出条件式と土砂移動の発生限界式を導き,両者を組み合わせることにより河道発生条件を定式化した.この条件式により3年に一度程度の強い降雨条件下での土砂流出発生地点が,実際に観測される河道発生地点に対応することが明らかとなった. 一方,房総半島鹿野山の砂岩地域,泥岩地域,および阿武隈山地・花崗閃緑岩地域の谷頭部に新たに試験流域を設けた.房総半島の砂岩流域では,降雨に対する応答がほとんどみられず,年間を通して安定した地下水流出と一定の土砂流出が継続していることが明らかとなった.泥岩流域では,降雨に対する応答が極めてよく,降雨イベントの発生に対応して土砂流出が発生した.花崗閃緑岩流域は,降雨に対して小規模な応答が観測され,顕著な土砂流出は発生しなかった.なお,これら3流域に関しては,次年度のデータも含めてさらに詳細な解析を行う予定である. 房総半島の砂岩地域,阿武隈山地・花崗閃緑岩地域では谷頭部の集水面積,勾配の測定,湧水流量の観測を行った.砂岩地域では,谷頭部の斜面勾配が45度程度でほぼ一定であり集水面積に依存しない傾向が見られた.さらに,湧水流量は地形的集水面積とは無関係であり,湧水の位置は標高によって規制されていることが明らかとなった.花崗閃緑岩地域では,斜面勾配と集水面積との間に負の相関関係が見られること,湧水流量と集水面積との間に正の相関関係が見られることが明らかとなった.今後,房総半島,泥岩地域でも,谷頭部の地形測定と湧水流量の観測を行い,足尾山地2地域,阿武隈山地1地域,房総半島2地域の計5地域での比較・検討を進める予定である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hattanji T., Onda Y.: "Coupling of runoff processes and sediment transport in mountainous watersheds underlain by different sedimentary rocks"Hydrological Processes. 18巻. 623-636 (2004)
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[Publications] Hattanji T., Wakasa S., Matsushi Y: "The numerical relathionship among first-order stream, peaks and saddles in two dissected mountains"Transactions, Japanese Geomorphological Union. 24巻. 205-213 (2003)