2004 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素置換テトラヘドラン誘導体の多量化と導電性に関する研究
Project/Area Number |
03J00232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 正信 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | テトラヘドラン / 酸化的カップリング反応 / テトラヘドラニルテトラヘドラン / スタニル置換テトラヘドラン / 高歪み化合物 |
Research Abstract |
リチウム置換テトラヘドランの酸化的カップリング反応により、テトラヘドランの二量体であるテトラヘドラニルテトラヘドランを初めて安定に合成単離することに成功した。テトラヘドラニルテトラヘドランは大きく歪んだ骨格を有しているにも関わらず、空気に安定であり熱的にも高い安定性を示す。また、X線結晶構造解析による分子構造の決定にも成功し、二つのテトラヘドランを結ぶ炭素-炭素単結合長がこれまでに知られている非環式の炭素-炭素単結合の中でも最も短い値(1.434(2)Å)となることを明らかにした。この結合の短縮化はテトラヘドラン骨格の環外の結合がアセチレンに匹敵するほどs性の高い軌道を有していることに起因する。また二つのテトラヘドラン骨格が近接したことにより、紫外可視吸収スペクトルの吸収末端が単量体と比較して長波長シフトしていることも明らかとなった。このことから、さらなる多量化を行えばテトラヘドラン多量体が特異な性質を発現するようになると予想される。 テトラヘドランを多方面に応用するためにはその大量合成が要求されるが、これまでの手法は収率が低く、反応のスケールアップも困難であった。今回、シクロブタジエンとペンタフルオロフェニルボランとの反応によりテトラヘドランをこれまでにないスケールで合成する手法を確立した。これによりテトラヘドランを多方面に展開することが容易になった。さらに、カップリング反応の収率向上や官能基変換などを指向してスズ置換テトラヘドランの合成を行った。目的のスズ置換体はリチウム置換テトラヘドランとトリメチルクロロスタンナンとの反応により合成した。トリメチルスタニル置換テトラヘドランは空気や湿度に対して極めて安定であり、取り扱いも容易である事からStillカップリングなど様々な反応を検討する上で良好な前駆体となると期待される。
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Research Products
(1 results)