2003 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素置換テトラヘドラン誘導体の多量化と導電性に関する研究
Project/Area Number |
03J00232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 正信 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高歪み / かご型化合物 / 炭素クラスター / テトラヘドラン / リチウム置換テトラヘドラン / 酸化的カップリング |
Research Abstract |
テトラヘドランは高歪みかご型化合物の中で最も歪みが大きく、それに起因して結合にあずかる原子軌道の混成も大きく変化している。このような特異な結合を有するテトラヘドランの多量体は、新たな炭素クラスターとして構造や物性面などに非常に興味が持たれる。しかしテトラヘドランは非常に不安定であることが予想されており、母体のテトラヘドランは未だに合成されていない。申請者はこれまでに、テトラヘドラン上にトリメチルシリル基を導入することでテトラヘドランを著しく安定化することに成功している。また、テトラヘドラニルクラスターの有望な前駆体である、リチウム置換テトラヘドランの合成単離に成功している。本研究ではテトラヘドラニルリチウムの酸化的カップリング反応によるテトラベドラニルテトラヘドランの合成を検討した。また、リチウム置換テトラヘドランを前駆体とすることで嵩の小さなメチル基や水素が置換したテトラヘドランを初めて安定に合成単離することに成功した。 リチウム置換テトラヘドランを前駆体とすることによりメチル及び水素置換テトラヘドランを無色の液体として初めて安定に合成単離することに成功した。これまでテトラヘドランを安定に得るためには立体的に嵩高い置換基による保護が必要とされてきているが、本研究で得られたテトラヘドランは水素置換体ですら空気中や100C以上の高温において安定である。また、水素置換テトラヘドランについてはNMRスペクトルにおいて骨格炭素と水素間の結合定数を明らかにし、G-H結合のs性を算出した。 また、リチウム置換テトラヘドランの酸化的カップリング反応を検討した。リチウム置換テトラヘドランと0.5当量のシアン化銅を反応させたのちに酸素により酸化させることでカップリングを行った。各種NMRスペクトル及びマススペクトルなどから目的物であるテトラヘドラニルテトラヘドランの生成を確認した。
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Research Products
(1 results)