2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00306
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太田 康子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 聴覚障害 / 音楽 / 歌唱 / 採譜 |
Research Abstract |
聴覚障害児の音楽的表現活動を明らかにするための一研究として、聾学校に在籍する児童の歌唱場面をビデオカメラにより録音・録画し、児童が歌った「好きな歌」の分析を通して、聴覚障害児の歌唱について検討した。対象は、A聾学校小学部に在籍する児童29名(良聴耳の平均聴力レベルは、76dBHL〜130dBHL)であった。課題は、調査者との個別の場面で好きな歌を歌うことであった。教示は、「すきなうたをうたってください」と書面により提示し、口頭で好きな歌なら何でもよいことを説明した。A聾学校内の一室にデジタルビデオカメラを三脚で設置し、歌唱の様子を録音・録画した。 23人が「好きな歌」を歌った。歌われた曲は全部で17曲で、そのうち14曲は、在籍する聾学校の音楽科の授業で扱われた歌(調査時期に扱われていた歌を含む)であった。23人の歌は採譜により楽譜に示された。23人の歌を構成するリズムは、A.歌全体を通して原曲とほぼ同じ、B.部分的に原曲とは別のリズムに置き換え、C.歌全体を通して原曲とは別のリズムで構成されたものに分類された。原曲とは別のリズムを持った歌には、音節毎に均等な音の長さで歌われたものと符点や三連符で表されるリズムで構成されたものとがみられた。歌詞である言葉やその音の発音と関連して、独自のリズムによる歌が表されたと考えられる。各児童の歌の音程の変化は、a.歌全体を通して音程の変化が大きい、b.部分的に音程の変化(短3度以上)がある、c.歌全体を通して音程の変化が少ない(短3度未満)歌がみられた。 リズムの独自性や計量の変化の大きさは様々で、それらが組み合わされて表された。多くの児童の歌に共通してフレーズ内のテンポの安定、拍が一定していることが認められた。言葉に独自のリズムや音の高さの変化をつけて歌が表現されていることが示された。
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Research Products
(1 results)