2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J00306
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太田 康子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 聴覚障害 / 歌唱 / 拍 / リズム / 音楽 |
Research Abstract |
聴覚障害児の音楽的表現活動を明らかにするための一研究として、聾学校に在籍する児童の歌唱場面をビデオカメラにより録音・録画し、児童が歌った「かえるのがっしょう」「すきな歌」を採譜した結果と音響的な分析を通して、聴覚障害児の歌唱について検討した。A聾学校に在籍する聴覚障害児童21名(4年生13人、6年生8人、良聴耳平均聴力レベルは65dBHL〜130dBHL)の歌った「かえるのがっしょう」のフレーズごとの持続時間、1拍の平均持続時間を算出し、聴覚障害児の歌の時間的側面について検討した。その結果、9名の歌はフレーズによって持続時間に違いがみられた。休符の省略や歌詞の追加がみられ、そのことによりフレーズごとの持続時間が異なったと考えられる。フレーズごとの持続時間を基に1拍の平均持続時間を算出すると、フレーズごとの持続時間に比べ、1拍の平均持続時間はフレーズによる違いが少なく、全フレーズで一定した歌が多かった。歌詞の追加やリズムの違い(休符省略、1拍複数音節)によってフレーズの持続時間は異なっても、曲全体を通して、ある一定の拍で歌われた歌が多かったといえる。さらに、A聾学校小学部2年に在籍する聴覚障害児童5名(良聴耳平均聴力レベルは102dBHL〜120dBHL)が歌う「すきな歌」と「かえるのがっしょう」を採譜した結果をもとに、重度聴覚障害児の歌にみられるリズムとメロディをみると、同じ児童の歌でも、歌によって音の高さの範囲は異なり、歌や歌詞によって音の高さや高さの進行パタンを変化させていると考えられた。対象児の歌には、フレーズ内で、または歌全体を通して、一定の拍が存在した。拍内でのリズムや音の高さの変化は、歌詞や児童によって異なっており、歌詞(言葉)を拍に当てはめることで様々なリズムや音高の変化が生じていることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)