2003 Fiscal Year Annual Research Report
光STM融合技術の開拓とナノスケールでの物性研究への展開
Project/Area Number |
03J00323
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 昭二 筑波大学, 数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体表面 / 半導体デバイス / 走査トンネル顕微鏡 / フォトボルテージ / フォトキャリア / 局所バンド構造 / ナノスケール / レーザー |
Research Abstract |
近年、ナノテクノロジーの進展により、既存のSiデバイスに加え、ナノチューブ・ナノワイヤー、有機分子などを利用したナノスケールのデバイスが多く提案されているが、今後これらデバイスの評価するためには、ナノスケールでドーパント分布、バンドギャップなどの局所バンド構造を調べる手法の開発が必要である。今回、我々の開発した光変調トンネル分光法は、走査トンネル顕微鏡(以下STM)の探針直下にチョツピングしたレーザーを照射した状態で、I-V曲線を得ることにより得られる表面光起電力(以下SPV)から、キャリア密度・Efピニングなどの局所バンド構造を数nmオーダーで計測可能な手法であり、デバイス評価技術としての応用が期待できる。しかし、STMによって計測されるSPVは、トンネル電圧やSTM探針-試料間距離に依存し複雑に変化することが容易に予想され、データの解釈においてその重要性は認識されていたが、これまで詳細な研究がなされていなかった。そこで、今回我々は、Si(100)清浄表面(P型Bドープ・0.018Ω・cm)を用いて、トンネル電圧・試料-探針間距離・光強度依存性について詳細な研究を行った。得られた結果から、探針を試料表面に近づけると観測されるSPVが小さく現れるという傾向が明らかになったが、この結果は、単純な金属-絶縁体-半導体接合モデル(MISモデル)では説明が出来ない。つまり、従来のMISモデルでは取り入れられていない、トンネル電流の影響について考察する必要があり、本結果は、伝導体に光励起されたキャリアが探針にトンネルすることによるものであることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 重川 秀実, 吉田 昭二, 武内 修, 大井川 治宏: "SPMで覗くSi(100)表面構造相転移の不思議な世界-最安定相を探し求めた先に現れたものは-"日本物理学会誌. 58・7. 503-511 (2003)