2004 Fiscal Year Annual Research Report
光STM融合技術の開拓とナノスケールでの物性研究への展開
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03J00323
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 昭二 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡(STM) / ナノデバイス / 半導体 / レーザー光 / 光起電力 / バンドベンディング / ナノ計測 / デバイス評価技術 |
Research Abstract |
近年,半導体においては、変調ドーピングやヘテロエピタキシー等のプロセス技術の発展によって,特異な機能を示すように設計されたバンド構造をもつ素子が作製されるようになり,実用レベルで大きな成功を収めている。そして,ナノテクノロジーの発展に伴いより微細なデバイス構造の研究が行われるようになり,作製したナノ構造体が示す物性およびその起源をナノ計測技術を用いて調べる必要が生じている。近年、異なる2種類のIII-V族化合物半導体からなる超薄膜多層構造を用いた半導体素子が、衛生放送、移動体通信、光通信などに広く使われ、情報社会の発展の一翼を担っている。このようなデバイスは、ナノスケールでドープ量や、バンドギャップを変調させることにより実現されており、実空間でこれらのバンド構造を調べることは非常に重要である。 私はこれまで、STM探針直下に光照射することにより誘起される表面光起電力を測定することにより、半導体のバンド構造をナノスケールで測定する手法「光変調トンネル分光法」の開発を行ってきた。この手法を実際のデバイス評価技術へと応用していくには、デバイスにおける多層構造などの界面をSTM観測する必要があり、これを実現するために、半導体へき界面をSTM観察する手法である"断面STM"の開発を行った。そして光変調トンネル分光法と組み合わせてLEDとして用いられるGaAlAs-pn接合エピタキシャルウェハーを試料として実験を行った。結果、断面STMを用いることで、pn接合界面のSTM観察に成功し、さらに光変調トンネル分光法を適用することにより、界面における静電ポテンシャル分布をナノスケールの分解能で画像化することに成功した。このように同手法は、非常に高い空間分解能を持つことから、より微細で複雑な構造を持つナノデバイス評価技術として有望であることが示唆される。
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Research Products
(5 results)