2004 Fiscal Year Annual Research Report
錯体ポリマーにおけるプロトン伝導体の創製とそのメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
03J00334
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長尾 祐樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超プロトン伝導体 / 固体電解質 / 燃料電池 / 電極材料 |
Research Abstract |
本研究では、金属錯体をベースとしたプロトン伝導体における、(1)伝導メカニズムの解明と、(2)現存のプロトン伝導体の伝導率を超えた超プロトン伝導体を創製することを目的としている。 今年度の研究計画では、水分子を電気分解することにより生じた水素を、錯体ポリマーにドーピングする手法を用いてその電子伝導性やプロトン伝導性について検討を行った。 まず、平成15年度の研究成果を利用して、配位子(ジチオオキサミド)の置換基(R)が-C_2H_4OH,-C_3H_6OHの錯体ポリマーを合成し、それぞれに水素ドーピングを行った。X線光電子分光(XPS)測定の結果から、二価の銅イオンが部分的に一価に還元されていることがわかった。このことから錯体ポリマーと水素が反応することが新たな知見として得られた。伝導性についてはR=-C_3H_6OHの錯体ポリマーは、20時間の水素ドーピングにより電子伝導率が9桁以上向上した。また、その試料の磁化率の温度依存性については伝導電子の影響によるパウリパラ常磁性を示した。また、錯体ポリマーは両者ともに電子伝導性やプロトン伝導性が水素ドーピング量に依存することもわかった。このため、本年度の研究の成果として、分子性物質が示す酸化還元特性を生かすことで、連続的に電子伝導性やプロトン伝導性を制御できる可能性があることが新たな知見として得られた。また、本錯体ポリマーが固体電解質としてだけでなく、燃料電池の電極材料としても使用できる可能性も示唆された。 また、国内外の会議で研究成果の発表を行った。国際会議3件(ACSSI-9,ICCC2004,5th JCSMCC)、国内学会6件。
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Research Products
(1 results)